縁 訪問相談

スタッフブログ

2018.1.5

【実録】お悩み相談室

あけましておめでとうございます!株式会社 縁の山田です。
本年もどうぞ、宜しくお願い致します。

さて、本日は「実録 お悩み相談室」と題しまして、最近お受けしたご相談から
みなさまに是非シェアしたい内容をコラムに致しました。

【お悩み内容】
「15年前に父が他界しました。そのとき、のこされた相続人は、母と私、そして東京に暮らす兄、の3名でした。
兄は、葬儀の際に、父母と同居していた私がすべて受け取ればいいと言ってくれました。
ただ、書面を交わすのが面倒だったので、遺産分割協議などは特に行っておりません。

ところが、去年末、兄が突然、父の遺産を少しでいいから分けてほしいと言ってきました。
父の遺産なんて、今住んでいる土地と建物くらいです。預貯金は、普通預金だけでしたし、
カードの暗証番号を母が知っていたので、全て引き出して、葬儀や法要に使ってしまいました。
今更、こんな要求をしてくる兄に、猛烈に腹が立っていますが、兄の要求には応じないといけないのでしょうか。」

みなさんは、どう思われますか?

この点、民法907条1項は、「共同相続人は・・・いつでも、その協議で、遺産分割をすることができる。」と規定しています。
つまり、遺産分割手続は消滅時効にかからないのです。

もっとも、個々の遺産について取得時効(民法162条)が完成した場合には、時効取得者が当該遺産の所有権を取得するため、遺産分割の対象外となることがあります。

しかし、本件では正式には一度も遺産分割協議がなされていません。書面として、お兄さんが相続を放棄したことを証明するものが何もない以上、弟さんが短期取得時効を主張するのはかなり難しいでしょう。
 
実際は、調停などで争わざるを得ないものと思われます。

みなさんも、面倒かもしれませんが、遺産分割協議書は作成しておきましょう。

また、遺産分割協議書など、書面作成の際には
ぜひ一度、専門家にご相談いただくことをオススメ致します。